2009年7月3日金曜日

メチル水銀を水俣湾に流す

メチル水銀を水俣湾に流す        入口有紀男

僕はこの本を読んだことにより前から学習してきた水俣病についてもっと深く学ぶことが出来たと感じています。
この本の第一部には水俣病の原因物資であるメチル水銀や有機水銀について詳しく書かれています。
水俣病としてメチル水銀が原因で起こる病気のことを学んできましたが、メチル水銀中毒症として1865年にヨーロッパで報告されていたことを知ってすごく驚きました。
そして古代の中国の皇帝も水銀は固体、液体、気体とあらゆる姿に変化してもなお同じ姿に戻ることから不老不死の不思議な力があると信じられて水銀を服用して少なくとも6名の皇帝が命を落としたことが書いてあり、現代からは創造も出来ない無知な考えで皇帝自ら水銀を飲んで命を落としていたことが印象的でした。
メチル水銀中毒症は両手がしびれる。耳が聞こえにくくなる。眼も見えなくなる。動きも鈍くなる。何か支えがないと立つことができなくなる。重篤な場合は、激しい震えが止まらなくなる。質問にも答えられなくなる。尿と便を失禁しながら昏睡状態に陥る。ものを飲み込むことが出来なくなる。身体をばたばたさせ、もがき、叫び、のたうちまわり、完全な白痴のように誰をも認識しなくなり、錯乱状態に陥って死亡する。
このような症状でメチル水銀は猛毒であると認知されていたのにもかかわらず、日本国政府、熊本県、水俣市はその事業に一体となって協力していた。
水俣に住んでいる住民が死んでしまっても構わないというようなこの事業は本当に恐ろしいと感じました。
そして、当時日本では徴兵制があったので日本窒素水俣工場で働くことは工場内で爆発が起こる危険と隣り合わせであったが一平卒として戦地に赴くことと同じか、あるいわそれよりましという考えがあったことが戦後に生まれた自分にはあまり理解出来ない考え方だと思った。